池田病院

肥満症とは


肥満は病気? ~肥満症と肥満の違い~

日本肥満学会が定義した基準では、BMI 25以上を肥満の状態としています。
これは、BMI25を超えたあたりから、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧といった合併症の発症頻度が高まることが理由です。
一方、「肥満症」とは肥満に起因、関連する健康障害を有するか、健康障害が予測される内臓脂肪が過剰に蓄積した状態で、減量治療を必要とします。 肥満は疾患ではありませんが、“肥満症は疾患であり、医学的な治療が必要”となります。
肥満と肥満症について:日本肥満学会/JASSOより
(http://www.jasso.or.jp/contents/wod/index.html)

肥満がなぜ悪い?

肥満に起因、関連しており、減量を必要とする健康障害には右図のような多くの疾患が挙げられています。

肥満がなぜ悪い

肥満学会認定肥満症専門病院とは

肥満症診療の専門医の養成と診療の専門化を図り、国民の健康維持、増進に寄与するために、日本肥満学会が認定した病院を「肥満学会 認定肥満症専門病院」といいます。
2020年1月現在、全国で86病院、関西地区では24病院、兵庫県では6病院が認定されています。

肥満の判定は

「肥満」とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、疾病を意味するものではありません。肥満の判定にはBMI(Body Mass Index : 肥満指数)が世界的にも広く用いられており、体重(kg)と身長(m)から算出されます。

肥満の判定は

当院の肥満症治療の考え方

糖尿病治療も肥満症治療も、合併症の発症・増悪を防ぎ、健康な人と変わらない生活の質を維持して、健康な人と変わらない寿命を全うすることが目標です。
“肥満は万病のもと”、単に体重を落とすだけではなく、生活習慣を是正するという視点から肥満症の治療を行っていきます。体重が落ちれば、糖尿病、高血圧、脂質異常も改善しますが、体重が落ちても治療目標を達成できない場合もあります。無理のない食事・運動療法を続けながら、必要な時には適切な薬物治療も組み合わせて、合併症を発症・増悪させないように努めます。

当院の肥満症治療の考え方

肥満症専門外来について

当院の肥満外来では、2021年12月に新しく1年間にわたる減量パスを作成しました。
初診時は可能な限り入院していただき、メディカルチェックを行ってから、減量パスを始めます。入院中に食事療法や運動療法を体験していただき、退院後も継続可能な生活改善法を決定します。
外来では定期受診時に、医師・看護師・管理栄養士・運動療法士がチームを組んで 6か月間の減量プログラムを展開します。定期的に各スタッフによる効果確認と支援の継続を行います。
減量パスの期間は1年としていますが、その後のサポートの継続も行います。

肥満症専門外来について

新しい減量パスの効果

”新しい減量パス”を導入している患者様が徐々に増えています。
6か月間で15kg以上の減量を達成して「動きやすくなって、生活が変わった」 と笑顔の方から、まだ効果の見られない方もおられます。継続への努力が減量への道につながります。

新しい減量パスの効果

食事・栄養指導について

当院では、減量のための絶食・超低カロリー食・極端な偏食を勧めていません。
一人ひとりの患者さんに適した目標設定、肥満の原因となるような食習慣や食事内容の是正を優先します。大切なことは、 将来にわたって健康的な食習慣を築くことです。
「ちょうどよいバランスの食生活」を患者様とともに考えていきます。

食事・栄養指導について

農林水産省ホームページより
(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wakaisedai/balance.html)

運動指導について

運動習慣のない人が運動を行うことは容易ではありません。日常生活の活動量を増やし、徐々にウォ-キング等の習慣化に持ち込む方法もあります。無理なく継続していただけるよう、運動課のスタッフによりそれぞれの方に適した運動方法をご提案させていただきます。一緒に健康のための一歩を踏み出しましょう!

運動指導について

肥満症に対する薬物治療について

今まで肥満症の治療薬として健康保険で承認されていたのは食欲抑制薬:マジンドール(サノレックス®)のみでしたが、2024年2月より肥満症治療薬:ウゴービ皮下注®が発売され、当院でも取り扱うことになりました。週1回の注射薬ですので、使い方の指導や副作用の確認など安全に使用していただくために入院での導入をお勧めしています。
また市販薬では「内臓脂肪減少薬」としてアライ®が発売され、薬局で購入することができるようになりました。但し、それぞれ使用するための条件がありますのでご注意ください。

運動指導について

その他、インターネットではやせる薬やダイエット薬などの広告を多く見かけます。非常に高額であったり、効果や安全性が不明なものが含まれている可能性がありますので、購入する前に医師に相談しましょう。

減量目的の入院について詳しくはこちらから→入院減量パス(PDF)

“目標が大きすぎて”、”いろいろな方法を試したけど”、”続けるのが難しい”といった減量の経験談をよく耳にします。個人に沿った目標と適切な方法で正しく減量することが大切です
合併症や病態の評価を行い、減量方法は個別に設定します。実際的な食事や運動を経験するには入院が適しており、入院期間は2週間から3週間が良いでしょう。

減量目的の入院について

肥満症治療で入院された患者さまの体験談です

肥満症治療で入院された患者さまの体験談です

In Bodyについて

最近、体脂肪量や筋肉量を簡単に測定できる機器が開発されました。
その名前は”In Body” 、定期的に測定して、脂肪量や筋肉量を管理しましょう!特に、減量する際には筋肉量を維持したまま、体脂肪を減らすことが大切です。

In Bodyについて

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠障害は、日常生活を脅かす原因になります。
よく眠れない、目覚めが悪い、日中いつも眠気を感じて、仕事に集中できない、体がだるいなどの症状が現れます。 肥満が高度になればなるほど、この頻度が高くなります。
当院では睡眠時無呼吸症候群の診断から治療まで行います。上記の症状がある方、家族から大きないびきや睡眠時の無呼吸を指摘されるなど、睡眠で悩んでおられる方はぜひ一度御相談ください。

睡眠時無呼吸症候群について